旅先では家具・インテリア小物を見て回るのは私達の定番です。事前に調べたところ、際立つのは、インテリア小物や食器より鮮やかなストライプのリネン「バスクストライプ」ですが、私は知りませんでした。ネットショップをみてもあまり販売されていません。見るからに丈夫そうできっちり織られた生地にくっきりしたストライプは、清潔感と存在感があります。
サンセバの街の象徴であるホテル・マリア・クリスティーナのギフトショップ、ルーカス・グルメ・ショップにあったバスクストライプのランチョンマットのデザインが素敵だったので、店員さんにお声がけしたところ、丁寧な説明を頂きました。ストライプは7本が基本でバスクの7つの地方を意味し、その昔は青が主流だったそうですが、今はバスク旗※の赤や緑を始め風格ある色が使われています。ただ、バスク織の工房は今やフランスのみで、いろいろ見たいならサン・ジャンド・リュズがお勧めだと言われました。当初フランスバスク日帰り旅行は、チョコレート発祥の地バイヨンヌと思っていたのですが、マカロンのメゾン・アダムの本店もあることだし、リュズで途中下車をすることにしました。
ルーカスにあったランチョンマットは、Tissage de Luzのものだったとショップに入って知りました。改めてそのデザイン性、色合いの斬新さに心を奪われ、思わず大人買いをしてしまいました。(苦笑) いかにもフランス人らしい店長曰く、バスクストライプを基調にしながらも常にデザインは見直しているのだそうです。
もう一軒の名店Lartigue 1910では、 笑顔が美しい長身のマダムからバスク織りの由来を書いたリーフレットで説明を受けました。生地は農家の閑散期に作られた亜麻。その昔は農耕牛の虫よけ防止のマントに使われていたもので、丈夫なことから生活の中で使われるようになり、1900年当時流行した7本のストライプのデザインで普及したそうです。マダムが自信と誇りを持って接客しているのが印象的でした。
もうひとつ、エスパドリーユでバスクストライプを基調にデザインを変容・進化させてる人気店が、バスク・バヨナです。ウィンドウ越しに見える楽しさに溢れた靴たちに呼び寄せられるように、街ゆく人がお店に入っていきます。私は結局シンプルな紺/白2色のストライプ柄を買いました。とても履きやすくて底のジュートの優しく包み込む感触が好きです。キャンパス地がしっかりしているので型くずれやへたりがありません。
バスク生地は土地とくらしに根差したもので、7本のストライプはバスクの伝統であり誇り。その守る部分と大胆に変容させていく部分を見極めて先へ進む。それはお菓子でもリネンでも共通です。穏やかで多くを語りませんが、とてつもなく強い誇りと覚悟を感じました。